労働審判員とは

労働審判員は、労働審判官(裁判官)と共に労働審判事件を処理する労働審判委員会のメンバーとして、中立かつ公正な立場で労働審判手続に関与し、労働関係に関する専門的な知識と経験を活用して、個別労働紛争の解決に当たります(労働審判法第1条、第7条、第9条)。

具体的には、労働審判員は、労働審判委員会の一員として、労働審判手続の期日に出席し、当事者の言い分を聴いてこれを整理し、争いのある事実について必要な証拠調べを行い、話合いによる解決ができそうであれば、調停を試みます。調停による解決に至らない場合、労働審判員は、評決権を持って、労働審判を行うための評議に参加し、労働審判委員会は、審理の結果認められた当事者間の権利関係と手続の経過を踏まえ、紛争の実情に即した解決を図るために必要な労働審判を行います。この場合、労働審判委員会の決議は、過半数の意見によります(労働審判法第12条第1項)。

なお、労働審判員は、非常勤の裁判所職員であり、実際に担当した労働審判事件の処理状況を考慮して手当が支給されるとともに必要な旅費や日当が支給されることになっています(労働審判法第9条第4項)。

労働審判員は、労働関係に関する専門的な知識経験を有する者の中から、あらかじめ最高裁判所によって任命され(労働審判法第9条2項)、個別の事件ごとにその事件が係属する裁判所により指定されます(労働審判法第10条)。労働審判員が有する「労働関係に関する専門的な知識経験」とは、労働者又は使用者の立場で実際に労働紛争の処理等に携わった経験及びそうした経験を積むうちに身につけた労働関係についての実情や慣行、制度等の知識をいいます。

(以上、「裁判所」HPからの転載許可あり)