知ってますか労働審判
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1.労働審判とは
- 労働審判手続は、解雇や給料の不払など、個々の労働者と事業主との間の労働関係のトラブルを、その実情に即し、迅速、適正かつ実効的に解決するための手続です。
- 訴訟手続とは異なり非公開の手続です。
- 労働審判制度と手続きについての詳しい解説を掲載しています。(最高裁の許可により、「裁判所」HPから転載)
- 労働審判手続について分かりやすく説明した動画(字幕あり)を以下に掲載しました。こちらをクリックすると、字幕なし又は音声解説付きの動画もご覧いただくことができます。
動画「よくわかる!労働審判手続」
2.労働審判手続の特徴
(1)労働関係の専門家による関与
労働審判手続は、労働審判官(裁判官)1名と労働審判員2名で組織する労働審判委員会が行います。
労働審判員は、雇用関係の実情や労使慣行等に関する詳しい知識と豊富な経験を持つ者の中から任命され、中立かつ公正な立場で、審理・判断に加わります。
なお、労働審判員について、詳しくはこちらをクリックしてください。
(2)迅速な手続
原則として3回以内の期日で審理を終えることになっているため、迅速な解決が期待できます。
平成18年から令和3年までに終了した事件について、平均審理期間は80.6日であり、67.6%の事件が申立てから3か月以内に終了しています。
(3)事案の実情に即した柔軟な解決
労働審判委員会は、まず調停という話合いによる解決を試み、話合いがまとまらない場合には、審理の結果認められた当事者間の権利関係と手続の経過を踏まえ、事案の実情に即した判断(労働審判)を行い、柔軟な解決を図ります。
(4)異議申立てによる訴訟移行
労働審判に不服のある当事者は、異議申立てをすることができます。適法な異議申立てがなされた場合は、労働審判は効力を失い、訴訟手続に移行します。
3.労働審判手続の流れ
(1)申立て
労働審判手続を利用するためには、地方裁判所(本庁又は一部の支部(東京地裁立川支部、静岡地裁浜松支部、長野地裁松本支部、広島地裁福山支部、福岡地裁小倉支部))に申立書等を提出する必要があります。
(2)期日指定・呼出し
労働審判官は、特別の事由がある場合を除き、申立てがされた日から40日以内の日に第1回の期日を指定し、当事者双方を呼び出します。また、相手方には、期日呼出状と共に、申立書の写し等が送付されます。
(3)答弁書等の提出
相手方は、労働審判官が定めた期限までに、答弁書等を提出しなければなりません。
(4)期日における審理
労働審判委員会は、原則として3回以内の期日の中で、事実関係や法律論に関する双方の言い分を聴いて、争いになっている点を整理し、必要に応じて申立人(労働者)や相手方の関係者(会社の代表者や従業員)などから直接事情を聴取するなどの審理を行います。また、話合いによる解決の見込みがあれば、いつでも調停を試みます。
(5)調停成立
話合いがまとまると、調停が成立し、手続は終了します。調停の内容は調書に記載され、条項の内容によっては、強制執行を申し立てることもできるようになります。
(6)労働審判
話合いがまとまらない場合は、労働審判委員会が、審理の結果認められた当事者間の権利関係と手続の経過を踏まえ、事案の実情に即した判断(労働審判)を示します。
労働審判に対し2週間以内に異議の申立てがなければ、労働審判は確定し、その内容によっては強制執行を申し立てることもできるようになります。
一方、労働審判に対し2週間以内に異議の申立てがされれば、労働審判は効力を失い、訴訟手続に移行します。
4.労働審判手続の利用に当たっての留意点
- トラブルの内容が複雑で、限られた期日の中で審理を終えることが難しそうな事案にはなじみません。トラブルの解決に労働審判手続が適していないと認められるときは、労働審判委員会が事件を終了させることがあり、この場合は、訴訟手続に移行します。
- 3回以内の期日で集中して審理を行うためには、当事者は、早期に的確な主張・立証を行うことが重要です。
- 申立書には、当事者間の交渉など申立てに至る経緯の概要も記載する必要があるため、労働審判手続の申立て前に当事者間で交渉を行ったり、行政機関等によるあっせん手続を行ったりしておくことが求められます。
- 労働関係のトラブルの解決方法には、労働審判手続以外にも様々な手続があります。それぞれの手続の特徴と事案の実情等を踏まえて、どの手続を利用するのが良いのかを十分に検討した上で手続を選択してください。詳しくはこちらをクリックしてください。
5.弁護士への相談について
労働審判手続は、原則として3回以内の期日で審理を終結することになるため、申立ての段階から十分な準備をして、充実した内容の申立書と必要な証拠を提出することが重要です。
また、当事者双方は、期日において口頭で言い分を述べることが原則とされていますから、申立人は、相手方から提出される答弁書や証拠をしっかりと検討し、期日において的確な主張(言い分)を述べ、証拠を提出することが重要です。
さらに、トラブルの内容が労働審判手続による解決に適したものかどうかを見極めることも重要です。
弁護士に依頼するかどうかは、最終的には、自分の意思で決めていただくことになりますが、このように、労働審判手続による解決に適した事案かどうかを適切に見極め、申立ての段階から十分な準備をし、期日において状況に応じた的確な主張、立証を行うためには、必要に応じて、法律の専門家である弁護士に依頼することが望ましいでしょう。