11.15 労働審判員連絡協議会「秋季シンポジウム」開催報告
労働審判員連絡協議会 11.15 「2025秋季シンポジウム」開催報告
今期「秋季シンポジウム」もオンライン開催として、「解決に悩んだ事案」の会員報告から全体で「労働審判のよりよい解決をめざして」を検討する内容として開催しました。
1.開催日
2025年11月15日(土)10:00~12:30 ZOOMによるオンライン開催
2.内容
(1)開会から進行
傳田共同代表理事が開会挨拶として、近年の労働審判事件数が年間3,300程度で推移する中、労働関係通常訴訟事件数は労働審判数を超え、昨年は1千件の差がつくまでになっていること、労働審判事件の平均処理日数も70日台から昨年は97日まで長期化していること、更に労働者側代理人からは金銭解決水準が以前より低下している等の指摘がある点などを問題提起をした上で、シンポジウムの開催の趣旨説明から、以下の進行を行いました。
(2)地方裁判所報告 仙台地方裁判所 高瀬保守 判事
「最近の労働審判事件をめぐる状況等の報告」として、仙台地方裁判所の近時の労働審判事件数の推移、事件種別、終局事由を全国として比較してご説明をいただきました。仙台地裁の解決率が全国より5%ほど高いこと。申立以前に当事者間での交渉がある場合には、申立てされた事実を相手方代理人に知らせてスムーズな日程調整につとめていること、尋問時の発言内容、発言者などを評議で調整、工夫していることなどを説明いただきました。
(3)「労働審判事件のよりよい解決に向けて」としてのディスカッション
2名の労働審判員が自らの経験で解決に悩んだ労働審判事案の概要を報告し、代理人としての経験豊富な各側1名の弁護士に加わって頂き、事件審理を進める上での工夫やよりよい解決策についてのディスカッションを展開していただきました。
・事案報告者(会員)とディスカッション参加の弁護士
①石井繁雄労働審判員(労側推薦、東京地裁所属)
②新名早苗労働審判員(使側推薦、横浜地裁所属)
③市橋耕太弁護士 (旬報法律事務所)
④藤田進太郎弁護士(弁護士法人 四谷麹町法律事務所)
・報告された「解決に悩んだ事件」の概要
①配転拒否事案で、委員会が工夫した調停案や説得も拒否する申立人への対応
②勤務懈怠などを理由に解雇され、復職を強く求める申立人と金銭解決を強く主張する相手方との調停
③在職中にタイムカードを複写し、退職後に時間外割増賃金を請求した申立人に「裏切られた」と憤慨して頑なになった相手方への説得と調停
④コミュニケーション不全などを理由に解雇された申立人の復職事案を審理中に相手方が解雇有効の主張から「復職了解」と主張を翻した案件の調停
(その他)
*会員からオンライン上でなされた二つの質問に回答し、次にシンポジウムに先立って実施した解決に悩んだ事案アンケートから5つの事案についても市橋、藤田弁護士から経験からのコメント、アドバイスをいただきました。併せて、両弁護士からは、労働審判員への期待として、・現場感覚と専門的知識・経験を活かすこと、積極的な尋問発言、当事者間の権利関係を意識して、粘り強く熱意をもって対応することなどをお話いただきました。
また、石井、新名会員からは「新任労働審判員」へ労働審判員としての姿勢や日常的学習、期日前の資料の読み込みや準備などアドバイスを受けました。
(4)閉会
会場参加の鵜飼良昭弁護士(支援委員)、和田一郎弁護士(支援委員)よりシンポジウムへの感想をいただき、赤木恭夫共同代表理事が最後に閉会挨拶を行い終了しました。